HELP展 ~30年後には消えてしまうかもしれない In SHIGA~ 2024年 8/10(土)、8/11(日) 滋賀・旧大津公会堂で開催

2024.07.04

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、8月10日(土)、8月11日(日)の2日間、滋賀県・大津市の旧大津公会堂にて、日本における気候変動の影響をアートで感じる展覧会「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない In SHIGA〜」を開催します。

本展では、気候変動の影響もあり30年後に日本から失われてしまうことも予想される生物や文化の中からいくつかのテーマをピックアップし、ぬいぐるみ作家・片岡メリヤス氏、八劔神社宮司・宮坂清氏、料理研究家・土井善晴氏らを含む多様な作家、文化人たちと協力し、日本に迫る気候危機を五感で「感じられる」作品を展示します。
8/11(日)には「琵琶湖と気候変動」を巡回展のオリジナルテーマとし、トークイベントも開催予定。京都大学生態学研究センター長・中野 伸一氏、琵琶湖の伝統漁法えり漁漁師・駒井 健也氏、ラオス料理人・小松 聖児氏、立命館大学学生・尾下望氏をお招きし、多彩な視点で琵琶湖の歴史や現状、そして気候変動の影響について語ります。。
さらに、全国的にも活動が盛んな滋賀県の高校新聞部と気候変動について共に学び、考え、新聞記事化していくプロジェクトも並走。地元の未来を担う若者の視点から気候変動の問題を捉え伝えることで、より多くの方に気候変動を身近に考える機会を提供できればと考えています。

主催:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
後援:滋賀県
企画:クリエイティブユニットHAKUA
会期: 2024年8月10日(土)- 8月11日(日)
会場: 旧大津公会堂3Fホール(滋賀県大津市浜大津1-4-1) 
京阪電車石山坂本線・京津線「びわこ浜大津」駅より徒歩約1分
JR「大津」駅より徒歩約15分
名神高速道路「大津IC」より車で約15分
時間:11:00~18:00
入場料:無料
・本展は英語でもお楽しみいただけます。
・車椅子でのアクセス可
制作協力:UESATSU(KV グラフィックデザイン)、亀村佳宏(ビデオグラファー)、島田彩子(SNSマーケター)、北原和規(UMMM、紙面構成 グラフィックデザイン)

公式サイト:https://help-ex.jp/
公式インスタグラムアカウント:https://www.instagram.com/help_gpj/


HELP展とは

2023年11月17日(金)より11月26日(日)まで東京都・青山で開催された、日本における気候変動の影響をアートを通じて感じる展覧会。
会期中の来場者数は750人以上にのぼり、多数のメディアに紹介されるなど大きな反響に。
大手メディアや環境系の媒体だけでなく、アートやライフスタイル系の媒体にも掲載されたことに加え、「気候変動とアート」という切り口に興味を引かれて来場したという声も複数寄せられました。

さらに、展示品を含む会場造作を持ち帰りできるリユースの社会実験に関しても、62個中59個の品に引き取り手がつき、資源を無駄にしない新しい展覧会の形を示すことに成功しました。

詳細なレポートはこちらを参照ください
各画像はこちらからダウンロードいただけます。


1000年以上続く伝統を、次の1000年へ
HELP展 in SHIGAオリジナルテーマ「琵琶湖と気候変動」

滋賀県の暮らしを支え、文化を育んできた琵琶湖。
実は、その誕生は400万年前とされ、世界でも20ほどしか存在しない貴重な古代湖です。
長い歴史をもつ琵琶湖には、固有種を含め多様な生物が暮らしています。

そんな琵琶湖を有する滋賀県の人々は、昔から自然と共に生き、豊かで持続可能な文化を育んできました。例えば、1000年(平安時代)以上前から続く琵琶湖の伝統漁法「えり漁」。障害にぶつかるとそれに沿って泳ぐ魚の習性を利用し、「つぼ」とよばれる場所に入った魚のみを漁獲することでとり過ぎを防ぐ待ち受け型の漁法です。

これまで滋賀県の人々は琵琶湖の恵みを大切に使い、様々な伝統や文化を発展させてきました。こうした古来からの営みは、「琵琶湖システム」として国連によって世界農業遺産に認定され、「水と食の文化」として文化庁により日本遺産にも登録されています。

しかし近年、湖岸工事の影響や外来種の侵入、水草の大量繁茂、水質やライフスタイルの変化、周辺森林の荒廃など、琵琶湖を取り巻く状況は大きく様変わりしてきました。加えて、気温や降水パターンの極端な変化といった気候変動の兆しが県内でもみられ、今後さらに影響が増すことが想定されています。

1000年続いてきた琵琶湖の恵みが、次の1000年も続くために。これまでを学び、今を知り、これからを考える機会となるような展覧会にできればと考えています。

【トークイベントの開催】

8/11(日)には多彩なゲストをお呼びし、HELP展 In SHIGAオリジナルテーマに沿ったトークイベントを開催予定です。知っているようで知らなかった琵琶湖のことを知れるきっかけになります。ぜひ、お誘い合わせのうえご来場ください。

8月11日(日)14:00 – 15:30
場所:旧大津公会堂3Fホール
トークテーマ:琵琶湖と気候変動
登壇者:京都大学生態学研究センター長・中野 伸一氏、琵琶湖の伝統漁法えり漁漁師・駒井 健也氏、ラオス料理人・小松 聖児氏、立命館大学学生・尾下 望氏
定員:先着50名
言語:トークイベントは日本語のみとなります。

中野 伸一

京都大学生態学研究センター長・教授。愛媛大学南予水産研究センター教授。水域生態系中の微生物学的諸プロセスに注目し、微生物ループの構造と機能(物質循環)の解明を行っている。研究対象水域は、湖沼、沿岸海洋、河川。湖沼、沿岸海洋では、プランクトンの食物網に着目し、植物プランクトンの生態と細菌・超微細藻類と原生生物の食物網の研究を主に行っている。河川では、主に付着微生物を対象とした微生物食物網の研究を行っていた。第17回生態学琵琶湖賞受賞。

駒井 健也

フィッシャーアーキテクト代表、BIWAKOアーティストインレジデンス実行委員会代表、志賀町漁業協同組合組合員。1992年滋賀県生まれ。滋賀県立大学環境建築デザイン学科、大学院を卒業後、琵琶湖の漁師に弟子入りし、2020年独立。「琵琶湖の中から淡水の暮らしを届けます」という理念のもと、漁師として琵琶湖伝統漁法エリ漁を軸に30種ほどの湖魚の生産、販売、漁体験を行い、漁師の研修生複数名の受け入れ。また、多様な視点から漁師による景観づくりとして、BIWAKOアーティスト・イン・レジデンス企画運営、全国の天然鰻食べ比べイベント、人と自然との繋がりを楽しく学ぶ音声メディア発信等を行い、琵琶湖暮らしの魅力を発信中。

小松 聖司

1988年 京都市生まれ。ラオス料理人。幼少期より生き物全般や淡水魚に夢中になる。和食の板前の父の影響により料理にも関心を持つ。2011年 京都大学大学院アジアアフリカ地域研究研究科入学 ラオス中南部の水産資源利用の研究を通して人と自然の関わり合いを学ぶ。地域研究学修士取得。ラオスの「タマサート(天然の食材や自然を尊ぶ)」という概念に感銘を受けラオス料理と日本の食材の融合を図る料理活動「小松亭タマサート」を主催。ポップアップレストラン等でラオス料理を探求している。

尾下 望

立命館大学 学生
2003年生まれ。愛媛県出身。
現在は立命館大学経済学部に在籍。行動経済学に関するゼミにて、オーバーツーリズムを専攻している。ボランティアサークルに所属し、琵琶湖の外来水生植物の除去や長野県での竹林整備活動に取り組んでいる。


地元高校生と気候変動について考え、伝える
高校新聞部とのコラボレーション

本展覧会では未来を担う若者と一緒に気候変動について考えるべく、例年、全国高校総合文化祭で最優秀賞を受賞するなど、目覚ましい活躍を続ける滋賀県の高校新聞部とのコラボレーションを実施。
虎姫高校、東大津高校、八幡工業高校の3校と連携し、「琵琶湖と気候変動」をテーマにした新聞記事を制作いただきます。プロジェクトは以下の3ステップで進み、高校生視点で気候変動を取材し、記事を作成します。

①オリエンテーション

講師を招き、琵琶湖と気候変動の基礎知識と、新聞制作の考え方やスキルについて学びます。

・京都大学生態学研究センター長 中野 伸一氏 
・松村 和彦氏  ジャーナリスト、京都新聞 記者

松村 和彦

2003年、京都新聞社に入社。「人生」「社会保障」「ケア」をテーマに長期プロジェクトに取り組む。認知症の取材では、新聞や雑誌で記事を掲載するほか、KYOTOGRAPHIE 2023で写真展「心の糸」を開催。2024年、World Press Photo(世界報道写真コンテスト)オープンフォーマット部門でアジア地域優勝者となった。著書に、花也(京都新聞出版センター)、認知症700万人時代―ともに生きる社会へ(かもがわ出版)。

 

②HELP展 滋賀巡回展への参加

展覧会・トークイベントへの参加、登壇者へのインタビューを通して「琵琶湖と気候変動」について深く学びます。

③独自取材・新聞記事制作

取材先の紹介など、必要に応じてサポートを行いながら、各校がそれぞれ独自取材を行い記事を作成します。
なお、作成された記事は、HELP展の開催報告の記事広告として京都新聞に掲載、県内の購読者への配布を検討しています。


展示作品

1. 動物からのHELP

いま、約100万種の動植物が絶滅の危機に瀕し、恐竜を絶滅させた6550万年前の大量絶滅と同じくらいのスピードで、生物多様性が失われています。本作品では、そんな消えゆく動物たちの姿を片岡メリヤス氏が巡回展のために制作したぬいぐるみを通してご紹介します。また、本展示のぬいぐるみは購入可能作品となります。来場いただくと購入のお申し込みが可能です。(展示終了後抽選での選出となります。)
コラボアーティスト:ぬいぐるみ作家 片岡メリヤス 氏

2. 寿司からのHELP

和食の花形、お寿司にも気候変動の影響が迫っています。海水温の上昇や海洋酸性化などにより食べられなくなるネタが増えると予想され、より詳しい調査が求められています。本作品では、無くなる可能性に応じて透明度を変化させた樹脂オブジェの寿司を作成しました。私たちの日常生活に現れるであろう、気候変動の影響を直感的に感じていただける内容です。また、好きな寿司ネタのアンケートも実施、みなさんが好きなネタは30年後果たしてどのくらい残るのでしょうか?
コラボアーティスト:クリエイティブユニット HAKUA

3. 諏訪湖 御渡りからのHELP

長野県の諏訪湖が全面結氷すると南の岸から北の岸へかけて氷が裂け、高さ30cmから1m80cm位の氷の山脈ができる伝統文化「御渡り」。諏訪市の無形民俗文化財に指定されている神事ですが、近年では気候変動の影響か御渡りの出現が少なくなっています。本作品では、御渡りの出現を判定する八劔神社宮司・宮坂清氏の言葉と、1683年から脈々と綴られた御渡りの記録をもとに展示を構成。諏訪湖のみならず、消えゆく日本の伝統文化について考える機会になればと願っています。※2024年3月バンコクで開催された国際映画祭の最高賞を受賞出演:八劔神社宮司 宮坂 清 氏

4. 昆布からのHELP

昆布もまた、気候変動の影響により消えてしまう可能性があります。昆布は出汁として古くから親しまれ、日本の食文化を育んできました。また、昆布などによって形成される藻場は、たくさんの生き物の生育場でもあります。その昆布がなくなることは、日本の食文化、さらには日本人の精神性にまで影響を与えるのではないか?ーーそんな疑問を料理研究家の土井善晴氏に伺いました。
出演:料理研究家 土井 善晴 氏


展示への参加

本展示は気候変動をより身近に、そして自分ごととして考えていただけるよう、さまざまな参加企画を用意しています。

① 展示品や会場造作の持ち帰りで、展示会リユースの社会実験へ参加

私たちは本展示の実施自体がエネルギーの消費や廃棄物を生み出すことを自覚し、新しく使ったり使い捨てる資源をできる限り減らし、なおかつその過程や手法を一人でも多くの来場者と共有することを目指しています。今回、ご来場の方に展示作品や会場造作を購入いただいたり持ち帰っていただくことで、資材のリユースにつながり、廃棄物を少しでも減らすことをご来場の方と協働で試す社会実験を行います。
また、持ち帰り希望者にはリユース方法を対象物に付箋で貼り付けて「応募」いただきます。HELP展は時間が経過するごとに、展示作品や会場造作のリユースのアイデアが増えていき、来場者と共創する展示になります。ぜひ、会期中何度もお楽しみください。

※一部作品は有料での購入となります。また、レンタル機材等の持ち帰りはできません。

② 助けたいと思ったものへの擬似募金体験

本展示では受付でお渡しするオリジナルコインを持って展示を鑑賞いただきます。最後にあなたが助けたいと思ったものの募金箱へコインを投入する企画をご用意しています。
募金したものから、「ペンプロッター」によりその場で執筆・出力するお礼の手紙を受け取ることができます。